たくさんの方にフェンシングを楽しんでいただきたく、できる限りシンプルにフェンシングのルールをまとめてみました。フェンシングの応援と観戦のお役に立てればうれしいです。
勝敗の決め方
フェンシングは、男女別で個人戦と団体戦があり、個人、団体共に「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3種目、合計12種目があります。
勝敗の決め方において男女や3種目での違いはありませんが、個人戦(予選・決勝トーナメント)、団体戦で違いがあります。
個人戦 予選プール
1試合(3分間)で5ポイント先取した選手が勝利。5ポイント先取前に3分間が経過した場合は、ポイント数の多いほうが勝利。同点の場合は、1分間で1点先取の延長戦を行う。延長戦でも決着がつかない場合は、延長戦前に行った抽選によって優先権がある選手が勝利となる。
ここだけ覚えて
個人戦の予選は、5ポイント取った方が勝ち!試合時間も3分しかない!
個人戦 決勝トーナメント
1試合(3分間x3セットの9分間)で15ポイント先取した選手が勝利。15ポイント先取前に9分間が経過した場合は、ポイント数の多いほうが勝利。同点の場合は、1分間で1点先取の延長戦を行う。延長戦でも決着がつかない場合は、延長戦前に行った抽選によって優先権がある選手が勝利となる。
ここだけ覚えて
個人戦の決勝トーナメントは、15ポイント取った方が勝ち!
団体戦(リレー方式)
1チーム3選手が相手チーム3選手と対戦するため、1試合の中で9つの対戦がある。1対戦で5ポイント先取、もしくは3分経過で次の対戦に移る。全9対戦で45ポイント先取したチームが勝利。45ポイント先取前に27分間(3分間x9対戦)が経過した場合は、ポイント数の多いほうが勝利。同点の場合は、1分間で1点先取の延長戦を行う。延長戦でも決着がつかない場合は、延長戦前に行った抽選によって優先権があるチームが勝利となる。
対戦順
①チーム
A選手
B選手
C選手
②チーム
D選手
E選手
F選手
A選手 対 D選手
B選手 対 F選手
C選手 対 E選手
A選手 対 F選手
C選手 対 D選手
B選手 対 E選手
C選手 対 F選手
A選手 対 E選手
B選手 対 D選手
ここだけ覚えて
団体戦は、みんなで力を合わせて45ポイント取った方が勝ち!すべての対戦で勝たなくても、最終的に45ポイント取ればいい!
個人戦 予選プール | 個人戦 決勝トーナメント | 団体戦 | |
---|---|---|---|
試合時間 | 3分間 | 3分間x3セットの9分間 | 3分間x9対戦の27分間 |
勝利ポイント | 5ポイント先取 | 15ポイント先取 | 45ポイント先取 |
延長戦 | 1分間1点先取で勝利 | 1分間1点先取で勝利 | 1分間1点先取で勝利 |
延長戦でも決着がつかない場合 | 延長戦前に行った抽選によって優先権がある選手(チーム)が自動的に勝利 |
「フルーレ」「エペ」「サーブル」の違い
フェンシングには「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3種類の種目があり、それぞれにおもしろみや見どころがあります。
フルーレ – Foil
両腕、頭部を除いた胴体のみが有効面であり、その有効面を突くことによってポイントになる。剣先にあるセンサーにより圧力500g以上の突きに機械が反応しランプが点灯。
片方の選手だけが有効面を突いた場合はその選手のポイントとなり、両者有効面を突いた場合は、攻撃権を持ってる選手のポイントになる。
攻撃権は、先に攻撃を仕掛けた選手に与えられ、防御側は、相手の攻撃を阻止する(剣を叩く、払う、または相手の動きを止める)ことにより攻撃権を奪うことができる。
攻撃ー防御ー攻撃ー防御といった攻防が瞬時に行われる戦いに特徴があり、見どころ。
ここだけ覚えて
攻撃は胴体への突きだけ!攻撃権があるので、ランプの点灯だけではなく駆け引きをみて!
エペ – Epée
頭からつま先まで全身が有効面であり、その有効面を相手より先に突くことによってポイントになる。剣先にあるセンサーにより圧力750g以上の突きに機械が反応しランプが点灯。
フルーレ、サーブルのような攻撃権はなく、先に突いた選手のポイントとなります。0.04秒以内の同時突きの場合は両者のポイントとなるのも特徴。
“ランプが点灯すればポイント”、判定がシンプルでわかりやすいため初心者の方でも観て楽しむことができる。
ここだけ覚えて
全身が有効面!同時突きもあり、ランプが点灯すればポイント!シンプル!
サーブル – Saber
両腕、頭部を含む上半身が有効面であり、その有効面を突く、もしくは斬ることによってポイントになる。センサーは剣先ではなく剣身全体であるため、剣が有効面に触れただけで機械が反応しランプが点灯。
片方の選手だけが有効面を突いた、もしくは斬った場合はその選手のポイントとなり、両者有効面を突いた、斬った場合は、攻撃権を持ってる選手のポイントになる。
先に攻撃を仕掛けた選手に攻撃権が与えられ、防御側が相手の攻撃を阻止(剣を叩く、払う、または相手の動きを止める)ことにより攻撃権を奪うことができることは、フルーレと変わりない。
突きと斬る動作によりダイナミックな動きが観られるのが特徴。
ここだけ覚えて
剣身のどの部分でも攻撃ができるから、突きと斬りある!有効面に触れただけでポイントになるけど、フルーレと一緒で攻撃権があるので、ランプの点灯だけではなく駆け引きをみて!
フルーレ | エペ | サーブル | |
---|---|---|---|
有効面 | 胴体のみ | 全身 | 上半身のみ |
攻撃方法 | 突き | 突き | 突き・斬り |
ランプの点灯 | 剣先圧力500gの突き | 剣先圧力750gの突き | 剣が触れただけ |
攻撃権 | あり | なし | あり |
見どころ | 瞬時に入れ替わる攻防 | 判定がシンプル | ダイナミックな動き |
武器
フルーレ、エペ、サーブルで利用される武器のすべては、細かな規定に則った安全基準を満たした物だけが使用できます。使用者や対戦相手に危害を加える恐れのないように製作されている必要があり、剣先から鍔(つば)までの剣身部分を研いだり、ヤスリをかけたりするすべての方法を禁止しています。
ここだけ覚えて
使用者や対戦相手が安全に競技できるように、細かい規定に則った武器だけを使用している!
フルーレ | エペ | サーブル | |
---|---|---|---|
全長 | 110cm 以下 | 110cm 以下 | 105cm 以下 |
剣身の長さ | 90cm 以下 | 90cm 以下 | 88cm 以下 |
重量 | 500g 以下 | 770g 以下 | 500g 以下 |
グリップの長さ(剣身根元から) | 20cm 以下 | 20cm 以下 | 17cm 以下 |
剣身の湾曲 | 1cm 以下 | 1cm 以下 | 4cm 以下 |
ユニフォーム
フェンシングの装備は、全種目とも服装、マスクはFIE公認のものを使用しなければいけません。また、ジャケットの下には、800ニュートンに耐えられる布製の規定プロテクター(保護用胸当て)を着用している必要があります。
また、女性は布製プロテクターの下に胸部を保護するチェストプロテクターの着用義務があります。
ここだけ覚えて
種目ごとのルールにあわせて、ユニフォームも種目専用と共用のものがある!
フルーレ | エペ | サーブル | |
---|---|---|---|
マスク | FIE公認・フルーレ専用 | FIE公認・エペ専用 | FIE公認・サーブル専用 |
ユニフォーム上下 | FIE公認・共用 | FIE公認・共用 | FIE公認・共用 |
プロテクター | FIE公認・共用 | FIE公認・共用 | FIE公認・共用 |
メタルジャケット | フルーレ専用 | なし | サーブル専用 |
グローブ | フルーレ・エペ共用 | フルーレ・エペ共用 | サーブル専用 |
剣 | FIE公認・フルーレ専用 | FIE公認・エペ専用 | FIE公認・サーブル専用 |
マスクコード | フルーレ・サーブル共用 | なし | フルーレ・サーブル共用 |
ボディーコード | フルーレ・サーブル共用 | エペ専用 | フルーレ・サーブル共用 |
シューズ | 共用 | 共用 | 共用 |
ソックス | 共用 | 共用 | 共用 |
ピスト(コート)の規格
フェンシングはピストと呼ばれる場所(コート)で行われます。ピストは平坦であり、両選手に対して有利不利がないように設計されなければいけません。特にライティングには注意が必要です。フルーレ、エペ、サーブルの3種目の競技は同じピストで行われ、ピストの大きさなどの細かな規格は国際フェンシング連盟による競技規則によって定められています。
ここだけ覚えて
限られたスペースの中での攻防をみて!